日本への警鐘【イギリスでのカジノの風景】

カジノでの特徴的な振る舞い

イギリスのカジノでは。あらゆる国の人々がカジノを楽しんでいます。カジノのスタッフがそれぞれの国から来た人の特徴的な振る舞を見て日記に書き記していました。それではその日記を読んでみましょう。

アメリカ

アメリカ人は負けが込んでくるとやたらにDealerに青筋を立てていちゃもんをつけたがる。正しいのは私そしてアメリカ。たとえそれが公平、正確を期する審判、公的機関、国際機関でもクレームをつける。どこかの大統領みたいだ。

中国

少し成金趣味の身なりの中国人はすぐ隣で勝ち続けている紳士を横目で見ながら全く同じようにチップを張っている。何しろ強い者の真似をする。そうだ中国はコピー天国だった。

ドイツ

髭を蓄えた大きなドイツ人が何やら独り言を言っている。(あいつらはクレーバーじゃない。カジノはすべて論理的で確率のゲームだ)堅物のドイツ人そこで赤が5つ続いたので確率を信じて白に賭けた。

イタリア

ブルガリのスーツをかっこよく着こなしたイタリア人は真向かいにいる美人の女性に視線を向けながらゲームをエンジョイしている。カジノの目的はゲームでなく恋の出会いの場なのだろう。

日本

そこにグレーのスーツの一団が入ってきました。どうやら日本人グループのようだ。急にゲームのスピードが落ちた。ゲーム毎に皆で打ち合わせながら一人が携帯電話で日本の本社に指示を仰いでいるようです。どこに賭けるか決められない。

これはちょっとした小話ですが、日本人が共同作業を好む事、多少優柔不断で決断力に欠ける事を皮肉っています。実はこの話はある外国の会社が日本の企業への投資を検討している時に、アドバイザーが日本の会社の実態をあらかじめ調査し、一つの事例として面白おかしく伝えていたものです。

日本人を蝕む決められない症候群

個の競り合いに弱い日本人

この外国企業が日本企業と投資に関する交渉が始まると、まず課長級との面談から開始された。出席した課長が当社にとって本案件は重要であり上司に相談したいといって交渉にならない。次に部長級が現れ本案件は取締役会事項であるので次回の取締役会まで決定を保留したいと引き延ばし作戦。

日本企業の内部では2か月後の取締役会で喧々諤々、議論百出、小田原評定となり結論が出されず、当面はProject teamの編成という事でお茶を濁された。一か月後のProject teamの提案は外国企業からの投資案件のメリット、ディメリットを責任回避的に表示して上部機構(役員会)にプレゼンを行う。

役員会で社長がいら立ちを見せながら結論は何だと怒鳴り散らす。結局内部での結論を先送りし外部コンサルティング会社又は取引銀行に結論を委ねるという結論で役員会が終わる。

ほぼ一年が経過した段階で外国企業が直接銀行側との交渉で圧力をかけ、取引銀行、コンサルティング会社及び日本企業との協議がなされ一定の結論が出された。内部での結論は出されることなく結局外部からの圧力から押された形で消極的で曖昧な一部投資という形で結論が出された。

これはまるでペリー来航の際の幕府の対応を見ているようで日本の組織ではよくある光景です。特に大企業又大きな官僚機構になればなるほどこの傾向が顕著にみられます。

決められない症候群は組織上の問題と個々の能力の問題に区別されますが、組織上では日本の大企業にある特徴的な集団統治体制、即ち下部機構から上部機構に至る多くの会議体、会議体における厳しい文書規定そしてハンコ文化(一つの書類に10個以上のハンコの捺印)さらに不明瞭な会議体の在り方。

4W1H【すなわち何を何時までに何処で誰がどんな方法で】が明確でないまま会議が進行。決定に膨大な時間と労力をかけ引き延ばし結局一旦様子を見るという結論を引き出す。

多くの日本人は協力体制(チームプレイ)には強いが個の力が欠ける。日本のサッカーチームは長くこの問題で苦労している。個の競り合いに弱い(議論に負ける)シュートのチャンスにも拘わらず、外す事を恐れパスで逃れる(過剰な調和主義、責任を取らない病)。

日本独特の体制と文化、企業風土に浸りきって調和を重視、出る杭を打たれないように慎重に階段を登りつめ漸く掴んだトップ又は役員にとってはその地位の保身が最も重要な課題でありサッカー選手と同様にシュートのチャンスがありながらあえてパスを選択してしまう。基本的に個人の決断能力、いわば胆力に欠ける。

偉業を成し遂げた日本人は何が違うのか?

しかし長い日本の歴史の中では織田信長を始めとして特に戦乱の世又社会が混乱した中で無類の胆力で偉業を成し遂げた日本人がいました。彼らのその決断力と胆力はどのように培われてきたのか。

彼らの決断はおそらく多少突飛で荒唐無稽な話かもしれませんが、それは見事な(断捨離)から生まれてきたものと思われます。断捨離とは固定観念で凝り固まった心をヨーガの行法で断行、捨行、離行。即ち不要な物を断ち捨て執着から離れる事。

  1. 断:あらゆる誘惑を断つ、心の迷いを最後に断つ。依頼心を断つ、不要で無駄な関係を断つ
  2. 捨:不要な情報を捨て去る、過剰な感情を捨て去る。過剰な期待を捨て去る、不平不満を捨て去る、過剰な欲望を捨て去る。すべてを捨ててシンプルな結論を導く。
  3. 離:巣離れする、過剰な温もり停滞が離れる、危険地域(リスク)から離れる。不良物、不審物を隔離する。離れて独り立ちする。一歩離れて上から事象を見る。

戦乱と世の中の混乱に生きた彼らはあらゆる欲望、誘惑、危険、他人からの不平不満、攻撃組織の停滞、混乱という状況下でその頭脳と強い心を以てあらゆる選択肢の中から瞬時に優先順位を決め果断に断捨離を実行し決断ができる経験、知力、胆力が備わっていました。 

人は人生で2-3回重大な決断を下しています。結婚も人それぞれの決断の賜物です。結婚相手のあらゆる情報、家柄、見た目、容姿、金があるか、人格、学歴、家族構成等などを本人の持つ優先順位から捨てて、さらに捨てて、最後に残った1つか2つの要素で決断。

給料も安い、容姿もほどほど、学歴も平凡、結局人柄だ等と決断します。持ち家、入試、入社、転職、人間関係、子育て,病気との闘い全て人はある決断をもって曲がりなりにも生きています。

自分の結論は心の奥にしまい込み周囲の状況に合わせて成り行きで生きて来たという人いるでしょう。実はこれも回りの状況又は人の意見を取り入れながら小さい決断を積み重ねながら生きて来たという事になります。

人は個人では曲がりなりにも小さな決断を繰り返しながら生活を送っているのですが一旦組識に入ると人間関係、調和、村社会、義理人情、規則等に縛られ決断しにくい状態に陥ります。

決断力が突然鈍ってしまいます。しかし断捨離の原理に立ち戻ると本当は実にシンプルで、断って、捨てて、離す事、あらゆる断捨離の過程を経るとその結果は二者択一に行きつく事となるのです。

物事はシンプル

やるかやらないか、進むか、一旦退くか、右か左かという事になります。後はどっちに転んでも死にはしないよと心を決める胆力があるか責任を取る覚悟があるかという事なのです。

簡単そうで難しい事だと思いますが、一旦心が決まると難しそうですが実はそんなに難しい事ではなさそうです。Simple is Best なのです。

三原一郎